製造ポリシー

■髙木の鞄作りへのこだわり

「素材へのこだわり」

髙木では鞄製作に様々な素材を用います。デザイナーや発注元の素材指定に応じて、様々な素材を使用しますが、難しいのは革です。
皮から革になったものを使います。
皮から革になるまでの間に「なめし」があります。
「革が化ける」と書いて、靴。「革で包む」と書いて、鞄。では「革を柔らかく」と書いて?
答えは鞣(なめし)。それまで「皮膚」であった皮を道具として使えるように「革」へと生まれかわらせる、魔法のような技術。
詳しくは、https://www.kawa-ichi.jp/basic/04/index.html

革は個体差があり。 2 つとして同じ条件のものがありません。例えば牛革は 1 頭から 2 枚とれます(日本で言われる半裁)、大体の年齢や品種しか判りません。価格は 10cm 四方をD S(デシ)と呼び総面積で購入しますが、様々なコンディションがあります。

革は生き物ですから呼吸しますし伸縮もします。背中から腹部に向かう位置でも、首部と臀部でも品質は異なります。
革を裁断する際コストを下げるためには、革の上に隙間なく型紙を展開すれば良いのですが、合理的な型紙配置を行うと、鞄の胴体部分に劣った部位が来てしまうこともあります。また 1 枚の革から、同一パーツだけをまとめて抜き取れば、効率的に使い切れる場合もありますが、革目の縦横が混ざってしまう事や、なめしによっては同じパーツで色や質が異なることも多々あります。

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そのため高級鞄の製作に際しては、1 枚ずつ革を検査し、鞄のパーツ裁断をイメージして、選別したもので裁断し製品化しています。大型の鞄などを革で製作する場合、 1 頭分近くの革を使用することもあります。同様の革質を鞄 1 個分裁断するための手間を惜しんでおりません。
勿論、革だけではありません表生地の素材違いや裏地もそうです。
目に見えない鞄の風合いなどを左右する芯材選びにも手間を惜しみません。
またそれが髙木自身の製造品質であります。
一流品を生み出す作業で素材を技術者の目で選び出すという作業は、必要不可欠なものなのです。
特に高級革製鞄のOEM受託製作を行う場合、受託全数に対して同様の品質を維持する素材の選別作業から始めるため、大変手間のかかる作業となります。
その対策として、当社では信頼できる皮革卸売業者や生地問屋と複数契約し、依頼主の要求に応じた素材を確保できるよう、定期的に品質水準を伝え、素材の品質や染色などを指定し、特注して必要数を調達することもあります

 

 

「型へのこだわり」

型紙イメージ

デザイナーが鞄のデザインを作成するとき、大半は一番美しく見える位置からのラフスケッチやデザイン画作成と素材の大まかな指定で、正面図、側面図、上面図、内装図などが提供されることもあります。
更にその鞄がいくつのパーツからなっているかを考えているデザイナーも、ほとんど存在しません。大手メーカーのバッグでも、ヨーロッパのブランドバッグでも、多くの場合実際に製作する際のパーツ分け(パーツの数や形を決める作業)は、鞄メーカーのサンプル師が行います。当然のことですが、パーツが多くなると、素材の断裁や縫製に手間がかかるため、相対的にコストが上昇し、結果的に消費者価格も上昇してしまいます。

一方コストを抑えるために、パーツ数を少なくすると、デザイナーがイメージしたシルエットの再現が難しくなり、特定部分に力がかかりすぎてゆがみや耐久性の低下などが起こります。サンプル師は長年の経験を元に、縫製技術と実際の縫製をイメージしながら型紙を切り出します。

鞄を1個製作するのであれば、型紙で素材を切り出していきます。しかしOEM受託の場合には、同一デザインの鞄を複数製造することになります。このような場合には、効率を考慮して、抜き型を作成します。
抜き型は、スウェーデン鋼の刃を加工して、刃を曲げたり溶接して作成します。
抜き型 イメージこの金型は片側が刃になっており、素材の上にのせ油圧裁断機で押し切ります。
手作業で素材を1枚ずつ切り出してゆくのと異なり、生地の場合は複数枚素材を重ねて断裁します。素材にかかる圧力により、ゆがみやずれも発生します。手作業での切り出しとはまた違った技術が必要になります。
さらに依頼を受けた鞄が、依頼会社のロングラン製品であった場合、さらに気を遣うことになります。
先にもお話ししましたように、面に見えるパーツで鞄のシルエットが決まるのではなく、芯材などによってもかなり変化するのです。さらには裏面の目に見えない縫製を少し変えるだけでも印象は変化します。
そういった意味では、型紙から裁断から量産の裁断の際にも経験や工夫が求められるのです。
鞄製作会社にとって、型紙は大切な財産なのです。

一番の財産は言うまでもなく、弊社社員、困難な形を具体化するサンプル師、難しい注文でも平気な顔で縫い上げる縫製技術者、・サイズを指定通りに裁断する技術者など、鞄道を歩む社員です。

 

「縫製へのこだわり」

縫製ミシン イメージ

その昔、鞄の縫製は手作業でした。現在はかなり分厚い帆布でも、化繊布であっても皮革であってもミシンで縫製します。しかしミシンは工業製品のため、同じように縫製できるかというと、実は微妙に異なるのです。

縫製技術者の癖もミシンには染みこむものですし(そんなことないと思われるでしょうが)温度や湿度、あるいは縫製する素材によっても調子は違ってきます。
さらにミシン針の太さ、使用する糸の太さや素材によっても仕上がりは変化します。素材や素材の堅さによって針も交換しますし、糸も換えます。
ミシンの場合、上糸と下糸の引っ張り強度によっても縫い目の美しさが変化します。さらに縫い方も部位によっては異なります。ハンドルやベルト部分は強度を持たせる為、縫い幅、縫い目間隔、縫い順など(見た目も良くなる)を全て同一条件で縫製します。
また、裏地や内ポケットであっても、縫い目の美しさが求められる部位作成にあっては、一個ずつきっちり縫製いたします。 ミシンで一気に縫い上げれば 10 秒前後で縫い上がる部分であっても、当社では素材をきっちり揃え、場合によっては仮留めし、さらに定規をあてがうなどしっかりと準備をして縫い上げます。マスプロダクションという条件下では非効率です。

当社縫製職人は自分でミシンのメンテナンスを行います。先にも述べたとおり、ミシンには個性があります。弊社の職人は自分の道具を大切にします。調整や修理など自分で出来る事は全て自分で行います。
彼らは言います「ミシン縫製であっても、縫い目を見れば誰が縫ったかわかる」と。ミシンの調整や修理は、プロスポーツの選手が自分の道具を手入れする時は他人任せにしないのと同じです。

このような考えは、非効率であり非生産的と受け取られるかも知れません。しかし当社では、非効率であっても品質に係わる作業には、手間を惜しまず職人の技量を活かす工夫を考えながら作業を行います。
つまりそれこそが、「工業品ではなく、工芸品の品質を目指す」髙木のあり方なのです。

よろしければ製造重点項目もご覧下さい。

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